第13回

蛸地蔵大菩薩(咳地蔵菩薩)

案内:加納 進

京都市中京区千本通竹屋町下ルにあります。蛸地蔵大菩薩の祠は、もと西ノ京にありましたが、市街化とともに家が建られると現在地付近の畑の中に移されました。当初、蛸絶ちをして願をかけると願いが叶うといわれ小祠ながら賑わったそうです。その後、別の信仰が生まれます。ある人の子供が長い間咳込んで苦しんでいたとき、ある夜のこと、この地蔵尊より「目のない蛸を描いて参詣し、一心に祈れば必ずや全治致す。病気全快の上は絵馬に目を描き入れ奉納すべし」との夢のお告げがありました。その人は、日参して子供の病気平癒を一心に祈りました。すると、お告げ通り咳は止まり全快しました。このことを聞き知った人々がどこからともなく参詣し、紙に目の部分を空白にした蛸の絵を描いてこの地蔵菩薩に張り付け、平癒祈願をして日参し、全快のあかつきには目を描き入れ、御利益の御礼参りをするという信仰がうまれました。この信仰は今日まで細々とひそかに続いています。


入力:高岡 良次  レイアウト:岡村 拓馬